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風色時間

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マグカップを片手に。

例えば一枚の写真を見たって
思うことは人それぞれ。
例えば一人は花瓶の花を綺麗だと言うし
例えば一人は置き忘れられた傘を、淋しそうと言う。
切り取られた窓の向こうの空に思いを馳せる人もいるだろうし
テーブルの上の本の中身を考える人もあるだろう。
いろんな意見があって当然だと
知ってはいる、のだけれど。

 君色時間~穏模様~ 更新しました。
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実り

スーパーマーケットで
鮮やかなリンゴの紅に惹かれてその一袋を買い求めた。
そう言えば子供の頃、母がよくリンゴを煮てくれたものだ。
鍋から立ち上る爽やかな酸味と甘みの混じった香りを思い出せば
当時の台所の小窓越しに射す陽の角度まで
すぐそこに見えてきて。
・・・秋はどうにも人恋しくなるのだろうか。
苦笑じみた笑いを飲み込んでリンゴを切る。
酸味の強い品種は、あの頃は苦手だったはずなのだけれど。

ひとり時間~静模様~、サイト『風色珈琲店へようこそ』 
更新しています。

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けれど。

家族の愛情というものと、経済というものの均衡は
時折酷く辛い状況を引き起こす。
何のための入院なのか
それはとても難しい問いかけなのかもしれない。
それぞれに色々な状況や理由や考えがあって
正論だけでは誰しもがやっていけるはずも無くて。
それでもね
やっぱり何かを期待したくなることもあるんだ。

君色時間~穏模様~、更新しました。

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花色に

待合室の小さな花瓶に活けられた花に
懐かしい眼差しを思い出した。
リンドウ。祖母の好んだ花だ。
緑茶を淹れる優しい手を覚えている。
あの頃お茶の美味しさなんて良くは分からなかったものだけれど。
時折こうして失った風景が色鮮やかに蘇る。
普段はなかなかに思い出しもしないのに
唐突に脳裏を過ぎるのだ。

ひとり時間~静模様~君色時間~穏模様~ 更新しました。

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