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風色時間

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つれづれに

病院で長く仕事をしていると
それも社会的入院の殆どの、寝たきりの方が7割以上の病院に勤務していると
いろいろと、考えさせられることも多いわけで。
仕事をする上で必要に迫られて、見えないふりをしてきた自分の中の何かから
視線を逸らせなくなることがある。
お盆でもお正月でも外泊の出来る方はまずいない。
それは寝たきりじゃ無くてもだ。
ご家族が殆どみえない方もいる。
洗濯物が溜まっているからそろそろ来て下さい
そんな電話をかけている様子を見ることも少なくは無い。
杖歩行の方もいるし、車椅子の方もいる。
平屋建ての病院は、市街地にあるわけではないから
周り中を建物で囲まれいるわけでは無いけれど
なかなか、月なんて見られない。
十五夜の夕方に院内の公衆電話からおそらくはご自宅に
『ススキを六本持ってきて。
 そう、ここから月は見えないけどお願い』
と、連絡をしておられた方がいた。
彼女の病室で、家族が定期的に面会にみえるのは彼女だけ。
きっとお裾分けをされるのだろうと
思いながらその横を通れば、
こちらに気付いたその方が
にこりと会釈をして下さった。

   ひとり時間 更新です。
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